LINE法務部は無能なのか (ゲーム内通貨)(資金決済法)

表題の件、我が家で話題になったのでシェアします。JDです。

 

パナマペーパーに持ってかれた観がありますが、数日前、LINEが関東財務局に踏み込まれた件が話題でしたね。個人的には、懐かしい前払式証票法(現:資金決済法)の名前が聞こえてきて、ホッコリしました。

事件の概要

LINEが提供するスマホ用ゲームにおいて、アイテムというタテマエになっている「宝箱の鍵」が、資金決済法上の「通貨」に該当し規制(届出・供託金)の対象になる可能性があるとして、財務省関東財務局の立ち入り検査という報道が流れています。

 >> LINE:関東財務局が立ち入り検査 – 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160406/k00/00m/040/159000c

 >> LINEの「宝箱の鍵」に資金決済法違反の疑い 関東財務局が立ち入り検査 LINE側は一部報道に反論(※追記) – ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1604/06/news070.html

 

関連法

>> 資金決済に関する法律 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO059.html

以前は、「プリカ法」と呼ばれる(私はクーポン法って読んでたような)「前払式証票規制法」がありましたが、これは紙・磁気・ICチップが対象だったので、サーバ型を追加して、新法「資金決済法」になっています。

概要(ざっくり)

  • いわゆる商品券、クーポン、電子マネーなどが対象。ゲーム内通貨も該当する可能性が。(紙型・磁気型・IC型・サーバ型)
  • 基準額(1,000万円)を超える未使用発行残高がある場合に届出義務
  • 券面に表示事項のルールアリ
  • 基準額(1,000万円)を超える未使用発行残高がある場合に、2分の1以上の額のデポジットを供託する義務(デポジット方法は供託意外にも選択肢あり)
  • 発行者が破たんしたらデポジットから還付

(参考) >> 前払式支払手段に関する制度の整備 | 一般社団法人日本資金決済業協会 http://www.s-kessai.jp/pdf/shikin/shikin02.pdf

説明(ざっくり)

(JD個人の見解です。)

事業者が、顧客からお金を取って、実態のない「お金的なもの」をいくらでも発行することができるようになるとしたら、貨幣経済に対する重大な脅威に成り得ます。そんなことがまかり通るなら、バンバンゲーム内マネーを発行して、ユーザからお金を徴収して、対応しきれなくなったら倒産しちゃえば良いワケです。行き過ぎると、「お金ってなんだっけ」というかなり根源的な疑念のモトに成り得ます。

それでなくとも、破たん(倒産)時の顧客保護のために、何らかの保証は必要です。後で商品に換えようと思って、商品券を買っておいたのに、急に紙くずになられちゃうと困るワケです。

 

LINE法務部は無能なのか

夫に質問されましたのでね。

報道の内容を見ていると、LINE株式会社の法務室(LINEでは部署名は「法務室」のようですね。)は、社内啓もう系の資料では、一応資金決済法を意識したアクションを取っていたように読めます。

資料は「資金決済法 通貨該当性の判断基準」という題名で、昨年7月1日付で法務室が社内向けに作成した。「通貨発行者であるLINEには、たくさんの義務があります」として、財務局への報告や保証金の供託などの手続きを説明した上、ゲーム上の通貨の判断基準となる要件を示し、「正しく報告できないと、場合によっては業務停止も」と注意喚起している。

 >> <LINE>「通貨」具体例を削除 財務局提出の書類 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160407-00000006-mai-soci

悪い意味ではなく、一般的な予防策は取っていたように見えます。

…とすれば、法務部門が無能だったと言うよりも、そのあと、事業部なり、経営陣なりがこのメッセージを受け取って、どうアクションしたか、という問題のように思います。要は、社内政治の問題というか、ガバナンスの問題というか。

そもそも、教科書通りの業務ができるというだけではなく、社内の政も首尾よく治めて、発言の内容を各事業部、経営陣に尊重してもらうことも含めて法務部門のミッションだと言われれば、それもそうです(なので私は、ソフト&マイルドな法務部門よりも、ある程度ハードボイルド風味な法務部門のほうが存在意義に寄与するという持論を現役時代は持っていたのですが…なぜか男性の上司、スタッフには人気がないことが多かったです。和を以て貴しとなしたい、それでもって出世していきたい人が、男性に多い傾向にあるのでしょうか。)。

なんですが、そこはサラリーマンなので、腕があっても、

  • 予算がなかったり(部門の規模自体が小さかったり)、
  • 組織構成があんまり尊重されたものになっていなかったり(どこか大きい傘の下に入れ込んじゃってたり)、
  • 事業部門がヤンチャ過ぎて、言っても言っても潜脱されまくったり、
  • 経営陣がヤンチャ過ぎて(以下略)

ということがあると、奏功しないということがあり得ます。

 

もう私は現役退いたので今言ってもメリットあんまりないですけれども… 企業経営者は、耳痛くても日銭にならなくても、日銭稼ぎまくりたい企業であればあるほど(≒事業部がヤンチャ坊主)、法務部門にはある程度コストをかけて、意見は尊重したほうが、後々、会社が変なコケかたしたり、何なら自分が逮捕されたりというリスクが下がるものですので、コレを機会に是非ご検討いただきたいものです。

 

というワケで、LINE株式会社の法務室は無能という判断には当たらず、でも、社内政治力はもっと持てると良かったですね、というどこの会社の法務部門も抱える、月並みな悩みに思い至ったのでした。

 

以上、JDでした。

 

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投稿者: JD / ジェイド /

ジェイドと呼んで下さい。 ワラジ履きまくってます。 家族最優先。 得られなかったぴかぴかメダルを獲得するための戦いの最中。起業・サラリーマン経験あり。 文字を書くこと、文字を読むこと、どちらも中毒的に大好き。 (2016/3/10更新)